~BIMモデリング会社として国内2社目、業界のBIM活用へ弾み~
株式会社M&F tecnica(本社:東京都江東区、代表取締役社長兼COO:守屋 正規 「以下、M&F tecnica」)は、2023年6月16日に、BSIグループジャパン(英国規格協会)よりISO 19650-1(※1)およびISO 19650-2(※1)に基づく「BIM BSI Kitemark(カイトマーク)」 の認証を取得しました。BIM Kitemark認証では、国内10件目となり、モデル制作の受託組織としては2件目となります。
昨今、建設業界におけるデジタル化が急速に進んでいます。プロジェクトの開始から建設物の廃棄までのプロセスを、ビッグデータやIoT、クラウド、AI、BIM(ビルディング情報モデリング)などを駆使して、効率的に管理する手法が取り入れられ始めています。
BIMは、デジタルモデリングを使用して、初期設計から建設、保守、最終的に廃棄に至るまで、建設資産のライフサイクル全体にわたる情報管理の仕組みです。3次元モデルを含む共通データ環境において、エンジニアや所有者、建築家、請負業者間とのコラボレーションを可能にし、効率的な情報共有ができます。
ISO 19650は、BIMを使用して建設された資産のライフサイクル全体にわたって情報管理を行うための国際規格です。
BIMレベル2(※2)と同様の原則と高レベルの要件がすべて含まれ、本ISOの前身となるPAS 1192規格と密接に連携しています。本要件を満たしていることを証明することは、成熟したBIMの導入を示すことになります。
今回のM&F tecnicaによるBIM BSI Kitemarkの認証は、受託組織(※3)として受託したプロジェクトを対象に、TIDPをはじめとする文書整備やBIM360を活用したCDEの整備、3Dモデル作成プロセス、顧客満足および協働作業により、効率的な施工図モデル作成業務の促進を証明したものとなります。
※1:ISO 19650は、BIMを含む、建築および土木工事に関する情報の統合およびデジタル化
ISO 19650-1:2018 は、BIMを使用した情報マネジメント:概念および原則
ISO 19650-2:2018 は、BIMを使用した情報マネジメント:資産のデリバリーフェーズ
ISO 19650-3:2020 は、BIMを使用した情報マネジメント:資産の運用フェーズ
ISO 19650-5:2020 は、BIMを使用した情報マネジメント:情報マネジメントへのセキュリティを意識したアプローチ
※2:英国政府は2016年4月以降、建物やインフラストラクチャーを含む中央調達政府プロジェクトに入札する建設サプライヤーに対して、 BIMレベル2で作業することを要求しています。英国ではBIMの成熟度によって、レベル0からレベル3まで設定されています。
※3:受託組織 モデル作成業務などを、元請受託組織から受託して実施する組織
■ 認証取得を決めた目的
建築DXの旗印の下、建築のプロセスをデジタル化(改革)することが求められておりますが、これはBIMによる建築プロセスの改革を意味すると言われております。すなわち、「BIMデータ」を使って設計から施工、維持管理までのプロセス全体をつなぎ、その「BIMデータ」を利活用する仕組みを業界全体で作り上げていかなければなない、ということです。BIMがこのような建築プロセスのデジタル化の基盤として機能するためには、BIMデータ(情報)を最適にマネジメントする必要があります。当社はいわゆる受託組織としてBIMモデリングを行う業務を行っておりますが、BIM情報マネジメントの国際規格であるISO 19650-1,2に準拠してモデリング業務を遂行しなければならないと考えています。そのためにISO 19650の規格を学び、認証取得にむけて取り組みました。
■ 構築による成果、工夫、苦労した点
ISO 19650-1,2の認証に先立ち、研修を受けることで、BIMの情報マネジメントのあり方、重要性を各社員が認識することができました。その上で、具体的なプロジェクトにISO 19650に準拠したBIM情報マネジメント規格を当てはめ、EIR(※1)、BEP(※2)の具体化(明文化)、CDE(※3)の構築、情報コンテナの整備(階層、版管理、命名規則の整備等)を行うことで、BIMモデルの管理・共有のあり方の指針を得ることができました。
もっとも、現状のBIMのプロセスはISO 19650-1,2に完全に準拠した形で情報マネジメントが行われているわけではなく、さらには、受託組織としてISO 19650-1,2に準拠したモデルデータの取り扱いを行っている前例も少なく、解釈も手探り状態でした。
■ 認証機関にBSIを選んだ理由、また審査の感想
BSI社は、BIM先進国である英国の規格協会であり、その認証には国際的な権威があります。またBSI社は「お客様のビジネスパフォーマンスを最大限に生かすためのサポート」をミッションに掲げておられ、BSI社における審査の過程が単なる評価手続きに終わるのではなく、審査の過程で、当社がBIMの受託組織として成長できるのではないかと考えBSI社より認証を受けることを希望いたしました。
実際、審査官の方よりBIMモデリングにおける受託組織としてのBIM情報マネジメントのあり方のヒントを数多くいただくことができました。ここにあらためて感謝申し上げます。
■今後の展望 私たちは、BIMを中心とした建設産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を成し遂げるには、建設プロセス全体を一斉に変えていかなければならず、そのためには全関係者が足並みをそろえて、最初の一歩を踏み出すことが肝要だと考えております(https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2212/12/news014.html)。BIMモデリングのアウトソーシー(受託組織)である当社も、建設業界のDXのために一歩前に進まなければなりません。私たちは国際規格に準拠したBIM情報マネジメントに対応するべく研鑽し、元請受託組織であるゼネコンのBIM化、ひいては建設業界のDXに貢献していきたいと考えています。
※1:EIR(Employer Information Requirements:発注者情報要件)
※2:BEP(BIM Execution Plan:BIM実行計画)
※3:CDE(Common Data Environment:共通データ環境)